2004年12月09日

『トリポッド1 襲来』

子どもの頃夢中になって読んだ『三本足シリーズ』の新訳。

トリポッド 1 襲来
ジョン・クリストファー 西島大介 中原 尚哉

早川書房
2004-11-09
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ある日世界の各地に宇宙から飛来した謎の三本足機械「トリポッド」。それはあっけなく軍の攻撃に倒れてしまったものの、その事件をもとにしたテレビ番組が世界中で大人気に。やがてトリポッドを崇拝する一連の人々があらわれ、集団生活を営むようになる。本当にあの事件は終わったんだろうか? そしてトリポッドの真の狙いとは一体・・・

紹介やタイトルから多分そうだろうとは思っていたんだけど、訳者あとがきを読んで、これはやはりあの学研で出てた『三本足』であったかと、なんだか嬉しくなってしまった。とは言えこの第一巻のみは、原著でも後から書かれた「前日譚」で、訳されるのはこれが初めてってことになるらしい。従って僕が読むのもこれが最初。

いやあ、楽しかった。
少年SFかくあるべし、という感じの、屈折した愛とラストの希望。ちょっと前半タルいかもしれないけど、世界が徐々に変わって行く描写には、作者が得意にしていたっていうパニックSFのスリルと興奮がある。

この年になるとひたすら自由こそ正しいという倫理観には素直に頷けないものもあるのだけれど、そういう部分は括弧にいれて、むしろその単純さこそを楽しむべし。

しかし一方で、トリポッドの世界を分断する戦略は、現代の唯一の超大国が目指すものと全く正反対に見えつつ、統一された倫理観の徹底という点、そしてそれ以上にプロパガンダによる人民操作という点で、実は非常に近いものを持っているんじゃないかと思える。別に宗教的原理主義者のテロリストが「自由市民」に相当するとまで言うつもりはないけれども、なぜトリポッドに逆らわなければならないのか考えることは、あの国の正義を問い直すことに通じるんじゃないだろうか。

まあそんなのは今思い付いたこじつけに過ぎない(爆)わけで、少年たちの冒険と成長をワクワクしながら見守るのが本書の正しい楽しみ方ってもんでしょうけどね。
posted by けいりん at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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