スタージョンといえば『人間以上』。ずいぶん前に読んだのではっきりとは覚えていないのだけど、不思議に引き付けられたことだけはよく覚えていて、今でも再読の機会を待ちつつ本棚にしまってある。
今回のこの本はスタージョンの短編集。代表作に関する印象が上記のような状態で、その他には『夢見る宝石』も『コスミック・レイプ』も読んでいない僕が、なぜこの本をふらふら買ってしまったのか。確かに僕はSFファンだが、SFと名の付くものは片っ端から読みあさると言うタイプではないし、今後ぜひ買わなければならない何冊かの本の出版を待つ身としては、決して安い値段ではなかった。そのうえ(いつものことだが)家には積ん読の本が山ほどあり、その日だって別の階で、新聞の書評で気になった社会学系の本を買ったばかりだったのである。
じゃあ、なぜ、買ってしまったのか。
それは結局、最初に書いたような漠然とした印象だけで、「自分はスタージョンが好きだ」と深く感じてしまっていたからなのだと思う。
この本を読んで、その感じ方が正しかったことがよくわかった。
一編目となる「初めて売れた作品」『高額保険』は、単純ながらも非常に出来のいいショートショートだったし、その他の作品にしても、ブラッドベリに通じるような叙情と、魅力的なキャラクター描写、そして何より小説としての上手さが光っていて、実に楽しい短編集だった。
『裏庭の神様』なんかは、全く別の書き方で星新一とか筒井康隆なんかも使っていそうな骨組みなんだけど、そういう話だからこそ、スタージョンの作家性がよく現れている作品だと思う。それは解説の大森望も書いている通り、作業の具体性と、人物描写の魅力ということで、星新一がたんたんと話を進め、筒井康隆が状況をこれでもかというぐらい暴走させるのに比べると、ちょっとイヤミなぐらいバランスのとれた、それでいて十分に魅力的な「上手い」短編に仕上がっているのである。落ちも正直想像は付くけれども、これだけ読ませてくれれば文句は言えまい。
そんなわけで、これは晶文社から出ているというもう一冊の短編集も読まねばなるまいかなあと思っているところ。非SF作品が多いので、SFファンには物足りないかもしれないが、スタージョンが好きなら必読の一冊だと思う。また、なんでもいいから重過ぎず楽しい、けれども読みごたえのある短編が読みたいと思っている人たちへもお勧め。表題作はファンタジーと言えば言える、そのぎりぎりのところで成立した傑作。
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いや、スタージョンを手に取りつつも平台に戻して(笑)アップダイクの「終焉」をね。
だって、解説に量子力学入ってるプチSFって書いてあったから〜(^^;)
ピンチョンの「重力の虹」は、読もうと思っているうちに絶版になってしまったので、そういう後悔をしたくないと思って。まだ読み始めてないけど、読んだら、ちらっと感想でも。
スタージョンはわたしも「人間以上」しか読んでいなくて、それも遠い記憶の彼方です。
館長お勧めなら読んでみたいけど。文庫に・・・ならないよねぇ。
図書館にリクエストしてみようかしら。
で、「終焉」はプチSF、と。見落としていました。きっと二月にはハヤカワの「SFが読みたい」も出ることなので、この1年ぐらいの見落とし作品を拾い集めなくては。
とかより、ディックの「ペイチェック」、1/23発売予定が知らない内に「2月発売予定」にのびているのですがどうなっているのでしょう。ちなみにこの表題作、ジョン・ウー監督で映画化されたらしく、SFマガジン3月号に監督のインタビューが載っているんですが・・・いいですか、SFファン、ディックファンのみなさん、<b>この映画を見てはいけません</b>。てか、このインタビューすら読んではいけません。私はこのインタビュー読んだだけで憤死しかけました。SFをなめんな。
あ、「ペイチェック」は出てましたよ。わたしも23日過ぎても店頭に出ないので、あれ?と思っていたんですが。今日買いました。まだ読まないけど。
ジョン・ウーの映画は、何が原作だろうと、全部「ジョン・ウー印」の鋳型で焼き直されて別物になるので、今更気にしてませんわ。同じ名前の全く違うものだと思って観るので。彼にSF映画が撮れるとはハナから思ってないし〜。
収録作品のほとんど持ってる・・・あざとい商売しやがって。
びっくり!なにこれ〜?ひどすぎ。
買った時は、ディックの未読なら即買いだってんで、中なんて見なかったんだもの、わたし。
っとに、アコギな。
あ、「終焉」ですが、これは読まなくても良いです。
SFなんて、全然かけらも入ってません。
手垢の付いた核戦争後のアメリカって設定で、
量子力学も、ジジィの言い訳(時間の話の時なんかにね)に使われるだけ。
あ、これね、66歳にして現役バリバリ(あっちの方ね)のエロジジィが主人公で、来し方行く末をジメジメ語りながら、合間合間に若いねーちゃん見て欲情して、股間で自分のアイデンティティを確認するって話なんです。
まぁ、作者自身、SFを書こうと思って書いた訳じゃないし、わたしもすでにSFだなんて思わないで読んでいるので、それなりに面白いですけど。
めずらしく外した本買いでした。
この表現、妙にウケました。
そういう人、本当にいるからなあ(笑)
昔の人は「魂はちんこにある。ゆえに女には魂がない」とか本気で思っていたのだそうですが。
こうなってくると、俄然、
>量子力学も、ジジィの言い訳
このへんも「股間に関する言い訳」であってほしいという妙な期待が高まってきます。量子力学的股間。シュレーディンガーのちんことか。観測されるまでは勃起と非勃起の中間的状態にあるわけです。逆にいうと完全に勃起するには観測されなければならない。ってそれはただの露出狂か。
>SFを書こうと思って書いた訳じゃないし
そういう作品にキラリと光るSFテイストってのもたまらん場合がありますが、その感じだと「たまらん」類いではなさそうですね。ご忠告に従って見送っておきます。