2006年08月29日

残ったものも残したものも何もないはずだ

 夏が、終わる。

 夏なんかちっとも好きじゃない。
 暑いのは苦手だし、人でごった返す海になんか行きたくもない。
 蝉はうるさいだけで、夏祭りは通行の邪魔、
 スイカなんかこの先一生食えなくてもいい。
 アイスだって冬に暖房の効いた部屋で食う方がうまいと思う。

 なのに。
 なぜだろう、夏が終わるたびに、思ってしまうのは。




 「ああ、今年の夏も何もなかったな」




 夏が特別なものだったことなんかない。
 野球少年の情熱はついぞ僕を訪れたことがなく、
 恋はいつだって苦い諦めだけを残して消えていった。

 なのに。
 ちっとも好きじゃない夏、何の期待もしようがないはずの夏に、それでも僕は何か期待しているんだろうか。
 汗と、息苦しさと、日焼けの痛みの中で、
 それでも何かがあるのかもしれないと、僕は思っているんだろうか。


 
 もしかすると。
 この感慨は。
 「何もなかった夏」を惜しみ、悔いるこの想いは。



 僕の人生、そのものへの想いではないのか。



 そして僕は忘れるのだ。たった一度だけ、確かにそこにあった輝く夏の記憶を、永遠に、永久に、闇の中へ、眠りの中へ。
posted by けいりん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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